気づかなかったのですが連休があるのですね。どうも何某です。こんにちは。
カヤック、SUPフィッシングの方々を誘うと、高確率で手軽じゃないからと乗り気にならない釣りの話です。
嫁に見送られ出発
「五体満足無事に帰ってくるのが大事だぞ。ゆめゆめ忘れるな。」
毎度釣りに行く際に嫁が掛ける言葉である。
前回のキンメジギングは時化のため中止になってしまった。そのため、今回は余計に気合が入る。
港まで意外と早く着いた。流石に深夜だとあっという間だ。
防寒着に着替え車の中で仮眠を取る。
集合時間頃にぞろぞろと皆起き始めて準備をする。今回は乗合のためか、釣座は早いもの順らしい。
今日は軽いジグを使ってみたかったので、トモに構えることにした。
乗船する方々と挨拶を交わしながら出船した。
前回より荒れている
新島沖へ向かう途中、船室で1時間半ほどだろうか。仮眠を取る。
途中ベッドから身体が浮くようなこともあるくらい、波が高いようだ。
エンジン音が小さくなり、船長の掛け声のタイミングで、一斉に皆外へ出て準備をする。
ウネリが3m以上あるのではないだろうか。釣座の前は壁である。
こんなので釣りになるのかと思っている中、常連の方々はテキパキと準備をしている。
私も急いで準備するが、前回から改善し、すぐ準備は終わった。気持ちを落ち着けジグ投入を待つ。
幸先良い幕開け
XESTA スローエモーション フレア800g を選択し投入する。
Avet JXのレバードラグやらMCを調整しながら380m前後へ落としていく。
当初はキャスティングしないのでMC、いわゆるメカニカルブレーキはいらないかと思っていたが、この重さのジグの調整はレバードラグだけでは難しく、長時間のサミングは面倒なので、MCに任せたほうが格段に楽だった。
着底して糸フケを取り、再度底取する。
15mほどシャクった後、フリーフォールさせると、着底寸前で明確なアタリが出た。どうやら、潮が緩いらしい。
ローギアにボタンひとつで切り替え巻き上げる。ウネリに合わせずとも、クルクルと力いらなく巻いてこれる。これは疲れない。
試しにハイギアに変えてみると、かなり重い。シマノ オシアジガー F カスタム 3000NRHGの1.5倍以上の重さに感じる。魚をかけるところまではハイギアで、かけたらローギアだなと使い分けることに決めた。
ほぼ2倍以上の巻取り回数が必要なため時間はかかるが、結果休むことなく巻けるのでローギアでも極端に遅いわけではない。クルクルと巻き取る。
1本目のキンメがあがってきた。小ぶりだが、幸先は良い。急いで氷やら準備し次に備える。
2本目でだいぶ満足
ひと流し目はほとんどの方が釣れたらしい。今日はとんでもない釣果になるぞと、船長は早くも上機嫌だ。
2投目。最初の糸フケを取ったあと、ジグが落ちない。いきなりアタッている。
周りからの「食った?」の声にご機嫌な返事をし巻き取る。
慎重に慎重に巻取ると、隣の方も早々に連れていたらしく、ハイギアであっという間に釣り上げてしまった。
かなり大きい。おそらく2キロ近くはあるだろう。
続いて私のキンメがあがる。
同じくらいの大きさだ。これは凄いぞと心躍る。
実際帰宅後計量したところ、1.4kgといまひとつだったが、嫁と2人で食べる分にはとても満足する量だ。
いい釣りだったとすでに、私はご満悦気味である。
謎の魚
3投目。300m手前でジグが落ちなくなる。
水深は380m。途中で何かが食ってきてしまったらしい。
「めっちゃ早くないですか?」
それを気が付いた隣の方と、底までついてないのをお互い確認する。キンメではないだろう。
ラインが切られたのかと勘違いするほど軽い手応えだが、どうやら食い上げているらしく、超高速で巻くと手元に重みが伝わってきた。
ところが、100mくらい巻くと、急に走り始める。
『すいません!なんか走ってます!』
周りに声をかける。
リールが悲鳴をあげる。キンメ狙いなのでドラグをきっちり締めていた。
慌ててレバードラグを戻すと、ラインが一気に出はじめた。
60mくらい走られた後、ストレートポインピングで格闘していると、「キンメ釣りでリールでやり取りしてるの?」「マグロじゃないの?」との笑い声が聴こえる。
ところが、慣れないレバードラグでのやり取りに、こちらは笑い返す余裕もない。
これは周り巻き添えにしてしまうなと、経験豊富な方々にアドバイスをもらおうとしたところ、再度一気に走りはじめた。
『ヤバい!後ろに走り始めた!』
回すにも、誰もそんなのが釣れると想定していないので、船上での身動きがとれない。船底に擦れて一瞬で切れてしまった。
なんだったんだろうと周りと話ながらノットを組んでいると、ほとんどの方がヒットしているらしくゆっくりと巻き上げていた。
どうやら私のラインが切れたことで、巻き込んでのトラブルにはならなかったようだ。
「あー!イルカだ!!!」
悲鳴にも似た絶叫が聴こえる。目線の先を見ると、遠くからイルカがジャンプしながら近づいてきた。
思えば釣りでイルカを見るのは初めてだ。釣り人の天敵とは言うものの、実際に見ると、その光景に若干の感動を覚える。
「やめて!!やめて!!」
回収中の方々が絶叫する。
「だぁー!!暴れてる!!来ないで!!頼む!!」
回収中のキンメが危険を察知して暴れてるらしい。
海面まで残り50mくらいまできた刹那、ミヨシからトモまで竿先が、パンパンパンパンパンッとリズムよく順番に勢いよく跳ね上がった。
イルカに一掃されたらしい。
餌だけ取っていくと聞いていたのだが、船長が言うには遊ばれてるとのことだった。
隣の方は「5000円のジグですよ。。。やっと見つけて買ったのに。。。」と、たいそう落ち込んでいる。
その後は、イルカの影響なのかアタリがピタッと止まってしまった。
船酔い
どうにもイルカにやられるのだという。船長がイルカがいないポイントに移動しはじめた。
ところが、そこは潮が全く動いていないらしい。
さらには、XESTA スローエモーション フレア800g を投入するも、根がひどく2個連続で根がかりでロストしてしまう。
先程はハリだけ抜けたのだが、やはりバックラッシュなどでラインに傷が入っていると、先にそこから切れてしまうらしい。
ノットを組む。自分の倍近くあるウネリの中、ノットを組む。何度も組む。
多少ヤバいなとは思っていたが、ギリギリ大丈夫だった。水平線を見て心を落ち着ければ大丈夫だった。
鼻先を嫌な臭いがくすぐる。どうやらミヨシ側でタバコを吸う方がいるようだ。
なんとなく先日のタチウオ船でも思っていたのだが、どうやら私はタバコの臭いで酔ってしまうらしい。一気に船酔いしてしまう。
これは困ったぞと、急いで酔い止めを飲む。がしかし、徐々に目の前がグラグラとしてきた。
周りから何か言われるが空返事しか出来ない。
釣れれば気が紛れそうだが、何時間もアタリが無い時間が続いた。それも苦しさを加速させる。
最後にわけもわからず釣る
残り3、4回しか投入出来無さそうだという声が聞こえる。
酔い止めが多少効いてきたのか、楽にはなってきた。
もうすでに疲れてジグを落とさない人も出てきたようだ。
今日は終始400m未満の水深だったので、結構な回数落としている。
気合を入れてジグを落とす。
潮が相当緩いので xesta スローエモーション フレア700gにした。100g違うだけでもシャクるのがだいぶ楽だ。
ひと流しが長い。6回目の底取りで諦めかけた頃。ひとシャクリ目で勢いよく竿先が跳ね上がった。
これは釣れたなと回収する。残り100m辺りから明確に叩いてきた。とても大きい綺麗なキンメだ。
タモ入れしていただいて、一息つく。耳鳴りの中、「凄い大きいね。」などとフィルターがかった声が次々声がかかる。
写真を撮る気力が出ない。這うようにバケツに血抜きしに行く。
帰宅後、計量すると、2.0kgあった。今回の目標が2キロ以上を釣るだったので、目標達成というところだったが、どうにも船酔いが勝ってしまう。
最後のひと流しの声が聞こえる。
ふたシャクリ目で食った。早く食ってくれるのは助かる。
水平線を見ながら巻いてくる。
1kgほどのキンメがあがってきた後、急いで片付けをし、ベッドで気絶するように寝た。
無事帰宅
ぐっすり寝て帰港後、片付けをし、挨拶もそこそこにすぐ帰る。翌日仕事なので、渋滞に巻き込まれるのが嫌だったのだ。
途中に寄ったトイレで、身体が左右に揺れてるのがわかった。まだ船の揺れが残っているらしい。
やはり寝て帰ってこれるのが強いのか、本格的な渋滞になる前にノンストップで帰宅。選択した道も良かった。
嫁にキンメを見せる。
「また、あのキンメが食べられるのだね。。。」
前回よりも大きなキンメを、欲望を隠さず見つめている。
ロストしたジグの話に眉間にシワを寄せるも、目方を測りキンメの総額をざっくりと計算すると、「ペイだね!ペイッ!」と叫んでいた。
アダモちゃんかこいつは。と心の中で思いつつも、うっとりとキンメを眺める嫁の横で、徐々に私も艶かしく横たわるキンメに包丁をいれる興奮を隠せなくなっていくのだった。