【注意】SUP、カヤックフィッシングする方へ

安全のためフラッグは必ず掲げるようにしましょう。(2m推奨)

定置網内へ入る、係留する、仕掛けを引っ掛けるなどが多くなっており、漁師さんとのトラブルが増加してるようです。

SUP、カヤックを排除しようとする動きもあるため、定置網へは近づかないようお願いします。

もう二度と乗らない釣船の話。

もー。クロマグロ船が全部キャンセル。どうも何某です。こんにちは。
漁獲枠があっという間にいっぱいに。

気がつけば、しばらく更新していなかったです。
昨年の夏の話を書きます。

出港。

とにかくすごい釣れてるらしい

青物も跳ねなくなったので、キハダのキャスティング船でも行こうかなと思い調べていると、どうやら連日釣れているらしい。
これは急いで行かねば、と思い予約。
いつもの船は予約いっぱいらしいので、周囲で評判が良かった、はじめての船にした。
集合時間は5時とのこと。
ゆっくりの出船で大丈夫かと心配したが、乗船後に常連さんに聞いたところ、今はポイントが近いらしい。

「3日前に乗った時は、ほぼ全員釣りましたよ」

どうやら、何を投げても、なんなら、足元に垂らしても食ってくるくらいキハダの活性が高いのだと言う。
バラした方はオマツリしていたらしく、それさえ気をつければ間違いなく釣れるとの話。
高まることを言ってくれる。

朝イチ鳥山できるも

港から出てほどなくして、猛スピードで船は鳥山に向かっていく。
私の釣座は胴の間寄りなので、いったん様子見。
常連さんの説明では、被せてキャスティングはOKの船とのこと。ならばと、跳ねまくったら投げようとゆっくり後ろから眺める。

「おぃ!アワセなきゃ釣れないだろ!何やってんの!」

船長の怒号が飛ぶ。
誰かに出たらしい。
常連さんが「カツオ!カツオ!」と叫びながら慌ただしく、タックルチェンジしている。
ならばと私も交換しに行くが、船長の怒号に臆したのか戻る前にナブラは沈んでしまった。
「怒られちゃった。。。」と、私よりだいぶ歳上であろう方は落ち込んでいた。
常連の方が、「この辺りの船長は漁師だから口調荒いので気にしないで」と笑顔で慰める。
確かに、この辺りのマグロキャスティングは船長に怒られっぱなしである。
ヘビータックルを全力で密集した状態で振り抜くし、全速力でナブラに向かって走る中で準備をしないといけなかったりする。
危険と隣り合わせなので、口調が荒くなるのは仕方ないところもあるのだ。
とはいえ、常連の方1人以外はほぼ初心者。
相模湾のキハダキャスティングは10年で10回乗船ノーキャッチみたいな人も結構いたりする。乗船者はだいたい初心者みたいなものと思ったほうが良いようだ。
もちろん私もいまだにキハダをキャスティングで釣り上げたことがない初心者である。
船長に怒られないようにしよう。

ずっと船長に怒られる

「お前らそんなんじゃ釣れねーぞ。いないところに投げても釣れるわけないだろーが。何やってんのよ」

ローテーションでいい位置についたので、やる気を出してはみたものの、船長は呆れてしまっているらしい。
どうやら跳ねはしないものの泳いではいるらしく、それを追って投げてる人がいないのだという。
「いつも乗ってる船ならちゃんと何処にいるって指示だしてくれるんだけどなぁ」などと思いながらキハダを探す。
探すと右から群れがやってくるのが見えた。
鼻先に落とし、アクションを与えて放置する。
身を翻したキメジがシマノ オシア ヘッドディップ 140F マイワシに向かってくるのが見える。
「きてるよっ」の声を発するのと同時に、キメジはプラグの真下で方向を変えてしまった。
「あー」と隣の常連の方が声を発する。「でも、まだチャンスあるよ!」と励ましてくれた。

けが人が出そうな予感

しばらく反応が無く、時間で虚しいローテーションが続く。
後方にキメジのナブラを見つけ、仲乗りさんに指差し教えると、船は向きを変え猛スピードで手前に滑り込んでいった。
5kgもない群れだろうか。
常連さんが「僕らも被せていきましょう!」と声をかけてきたが、眼の前で繰り広げられるチャンバラ。
ロッドがキャスト時にガンガンッと音を鳴らしてぶつかりまくっているのである。
他の方のロッドにラインが絡まったのも気づかずキャストしたり、とにかく危険な状態。

「落ち着いて!声かけて行きましょう!」

「危険なので後ろ見てから振りかぶってください!」

などと常連の方と私で声をかけていく。しかし、泳いでいる群れに昂ぶっているのか、耳には届いてないようだ。
仲乗りさんに、危険だから声かけたほうがいいと伝えると、ナブラが落ち着いたタイミングで軽く声はかけていた。
がしかし、また群れが出ると夢中になり、ロッドでチャンバラしはじめている。
トラブルなるんじゃないかとヒヤヒヤしながら見ていると、無言でお互い絡まったラインを外しはじめた。
再度声をかけるが、「はぁ。。。」「そっスカ。。。」みたいな反応後に、またキャストしはじめた。
船長のアナウンスが入る。

「遅いよ!もういないだろっ!何処投げてんのよ!お前らそれじゃ釣れねーわ。。。はぁー」

初心者しかいないの見てわかるんだから、もっと何処にいるとかアナウンスしろよ。
安全対策もしないでわざとらしくため息か。
常連と仲乗りが話してるところに行き、「なんだこの船。危険放置して初心者馬鹿にして。どういうつもり?」と聞いたところ、2人は苦笑いしていた。

「漁師の船長だから、まぁそこはしょうがないよね。これがマグロキャスティング船の味ってことで」

などと常連は言いはじめた。
駄目だこれは。しょうがない直接言うかと、船長のところに向かおうかとすると、常連が「いるところには連れてきてもらってるから、釣らせる気はあるんだよ」と引きつりつつある笑顔で止めに入る。
「あなたはこの船があわないだろうけど、僕はこれからも乗るんだから余計なこと言うな」というのが、言わずともハッキリと顔に出ていた。
「初心者に優しい船」とはなんだろうか。
すっかりやる気なくなった私は、後ろから「周り見て声かけながらキャストしましょー」と声をかけながら見ていたが、誰も守らない。
新品のロッドを大きな音を立ててぶつけ合ってるのを見て、もう中は折れてるだろうなと思いはしたが、もうどうでもいいや、とふて寝することにした。

青物チャンスらしい

誰が投げても、や、投げなくても釣れる時期は終わっていたらしく、船中ノーフィッシュで港まで帰る。
時間を見ると沖あがりを1時間以上過ぎていたので、いくらかサービスタイムはあったのだろう。

「別な船から港前で青物跳ねてたって連絡あったから、少しやっていくので準備して」

このアナウンスに腰をあげたが、常連の方以外は準備もしない。
よく見ると、キハダのタックル一本で来ているようだ。
跳ねてたらダイペン。そうじゃなければシンペンだなと思っているうちに到着。跳ねてない。
シンペンをフルキャストして色々誘ってみるも反応は無し。
30分ほどダラダラとキャストをして帰港した。

心地よき痛みというべきか

「そこの壁に体育座りするからさ、『お兄ちゃんだもんね』って声かけてよ」

洗濯を終えた妻の眉間にシワが寄る。

「え、何?」

「いいから、ほら言って」

「オニイチャンダモンネ」

棒読みの台詞に私は憤慨した。

「俺が蜷川幸雄なら灰皿が飛んでるぞバカヤロウ」

「何で言わなくちゃいけないのよ。嫌だよ。めんどくさい」

意味がわからないとため息をつく妻。
また立場をわからせないといけないというのか。すこぶる面倒な妻である。

「いいかい。こないだ法事があって君のところの長男が頑張ってただろう。頼り甲斐のあるお兄さんでした」

「まぁ、そうね」と、気だるそうに答える妻。

「知ってるかい?僕も長男なのよ。ラオウなの。世紀末では」

「ラオウ。。。」

「そう。長兄よ、長兄。うぬはわからぬか?」

早く終わらせようという雰囲気を出す妻。

「今日は嫌なことがあったのでね。うぬに慰めてもらおうと思ってね」

「うぬ、うぬ。なんなのうぬって」

確かに「うぬ」ってなんだろう。「ちょっと武論尊に聞いてみるわ」とスマホで調べる。

「あっ!」

思わず発した私の声に妻の身体はジャーキングを起こす。

「急に大声出さないで」

「カイオウ。。。あぁ。。。いたなぁ。。。」

さらに顔が曇りうつむいた私の顔を妻は心配そうに覗き込む。

「忘れてたよ。ラオウって次男だったんだよね。。。」

「何?何の話?ねぇ、うぬって何なの?結局うぬって何なの?」

すっかり落ち込みふて寝した私の背中に、妻のうぬが痛いほど刺さる。
今。。。すべてが終わる。

タックル

キハダキャスティング用

カツオ、シイラキャスティング用

【注意】SUP、カヤックフィッシングする方へ

安全のためフラッグは必ず掲げるようにしましょう。(2m推奨)

定置網内へ入る、係留する、仕掛けを引っ掛けるなどが多くなっており、漁師さんとのトラブルが増加してるようです。

SUP、カヤックを排除しようとする動きもあるため、定置網へは近づかないようお願いします。

有言実行のスターな男の話。

とんでもない暑さでした。どうも何某です。こんばんは。

少し暑さが落ち着くみたいな話もありますが。釣りに厳しい季節になってきました。

引っ越し祝い。

引っ越し祝いが必要らしい

「引っ越し祝い要るよねぇ」

コロナ禍が落ち着いたので、なかなかやれてなかった、友人の新居へ集まろうというイベントにお呼ばれされたのだ。
妻はお土産が要るのではないかと考えているらしい。

「タイとか釣れればいんだろうけど」

私の発言にハッとした顔をする妻。

「ヒラメが食べたい!」

引っ越し祝いにヒラメ。どうなんだろう。

「ヒラメが食べたいよぅ」

そういえば、少し前に釣り仲間がヒラメを立て続けに5枚ほど釣っていた場所があったな。

「じゃ、ヒラメ釣ってくるわ」

引っ越し祝いを確保

だいぶウネリは残っていたが、タイミングをはかれば問題ない。
日の出とともに離岸。
魚探をセット。今日は落とし込みをするので、魚探がないと厳しい。
イワシの群れを探して移動する。
ガーミンの魚探は横も見れるので、反応がある方向に移動していく。
そろそろだなという辺りで自作のジグサビキを投入。
イワシがサビキについたのを確認し、底まで落としていく。
着底するやいなや。イワシが暴れだす。
竿先がグーッっと海中に入っていく。もうひと絞り。もうひと絞り、とつぶやく。
グッっと入ったところでアワセる。ノッた。
ヒラメ特有の手応えで上がってくる。タックルが強いのか、特にやり取りすることもない。

ヒラメ 47.0cm 1.2kg

立派なヒラメじゃないですか。
これは良いですね。妻の喜ぶ顔が浮かぶ。
丁寧にシメてクーラーに押し込んだ。

突然跳ねる

イワシの群れがまた入ってきたので落とすとすぐ食ってきた。

そげ。

ソゲなのでリリースする。
とはいえ、これは今後も期待が出来る。
さて、次の群れは。などと浮かれて魚探を見ていると、突如ドゴドゴッドゴッっといった地鳴りのような音が響いた。
直感的にジギングロッドを片付けつつ、キャスティングロッドに手を伸ばす。
後方か。
カヤックの向きを変えると、逆光の中、何かが跳ねてるのが見える。
全速力で向かいながら、いつでも投げれる準備をする。
届くか届かないかで、イナダが跳ねてるのが見えた。青物のナブラか。背中しか見えないが、ブリ、シイラも混じっているようだ。
鳥山をかき分けるようにキャストするが、着水前に沈んでしまった。
その後も誘い出ししてみるが出ず。

マグロ乱舞

ナブラが落ち着いたので落とし込みを再開するも、イワシを咥えはするが離してしまう。
アタリは多いのに、食わせるまで行かない。
お土産は確保してあるので、もうあがろうか。まだ7時前だというのに、暑くなってきた。
太陽の位置を確認しようとすると、鳥が集まってきてるのに気づく。
キャスティングロッドを手に持ちながら、ゆっくりと近づいて待機する。
イワシが水面を賑やかにした直後、ボコボコボコッと何かが水面付近に顔を出した。
一瞬の静寂の後、水柱がカヤックの周り、そこらかしこで立ち上がる。
マリア レガート F165 ケイムラスリットグローを放り込む。や、もはや、ちょい投げである。

「食え。食え」

アクションして放置してみるも、食ってくる様子はない。
カヤック前1mほどの水柱を凝視すると、どうやら2〜4kgほどのキメジの群れのようだ。
跳ねはしないが、水面直下で狂喜乱舞している。
1時間ほど続いたが、どうにも食ってこない。
シンキングペンシルとかなら食ってくるのだろうか。
まだまだ跳ねそうな雰囲気ではあったが、8時近くになると暑くて耐えられなくなってきた。
潔く納竿とした。

踊る妻ヤプシ

少し動いては休憩しを繰り返していると、すっかり昼になってしまった。
下処理をし、丁寧に梱包したヒラメに釣った日などをメモ書きしていると、妻が寝室からやってきた。

「おっ。おぉ!?ヒラメ!?凄い!!」

メモ書きを見ると妻はクルクルと、おそらく、昨日テレビで見た草刈民代を意識した舞を踊り始めた。

「有言実行じゃないか。やりますね」

鼻息荒く喜びをダンスで表現する妻。芸術点は高い。

「Shall we ダンス?」

紳士に民代の手を取ると、真顔で「や、これから歯を磨くので」と断られてしまった。
洗面所に向かう民代の背中に、声に出さず「あばよ」と叫ぶ。
ひと夏の思い出はここに終劇となった。

タックル

キャスティング

ジギング

【注意】SUP、カヤックフィッシングする方へ

安全のためフラッグは必ず掲げるようにしましょう。(2m推奨)

定置網内へ入る、係留する、仕掛けを引っ掛けるなどが多くなっており、漁師さんとのトラブルが増加してるようです。

SUP、カヤックを排除しようとする動きもあるため、定置網へは近づかないようお願いします。

海も家も時計仕掛けのなんちゃらな話。

なんか最近どこ行っても人が多いですね。どうも何某です。こんにちは。

ご飯食べに行ったら、コロナ禍はすんなり入れたのに、実はこんなに並ぶ人気店だったの?って驚くことがよくあります。

ドカンと出る。

跳ねてます

ブリが跳ねてるらしい。
ならば明日はキャスティングだと宣言する。

「いりませんよ。ブリは」

冷蔵庫を指差しながら静かに、そして力強く妻は口を開いた。
なるほど。
こちとら老いてもパンクス。
ならば、冷蔵庫の中身をぶちまけて、ブリで埋め尽くしてやろうじゃないか。
ポケットの中で掲げたアングリーフィストを振り回す。
何かを察したのか「釣りに行くのはいいよ。気をつけてね」と、妻は私の顔を覗き込みながら声をかける。

「でも。いりませんよ。ブリは」

先程より静かに。そしてさらに力強く妻は呟いた。

お祭り

まぁまぁ遠いが、情報のあったポイントへ行く。
どうやら、早朝は静かなようだ。
釣り仲間と会話しながらジギングをする。
サビキを見ると海中はイワシだらけらしい。
時折、ナブラが発生するが、おそらくサバとかペンペンだろう。無視してジギングを続ける。

「バゴンッ。。。ババッ。。。ババババババ!!!!」

後方でもの凄い音が鳴り始めた。
振り向くと、大きな魚体が海面から出たり入ったりを繰り返していた。
全速力でカヤックを進めながら、キャスティングロッドを手に取り準備する。
ナブラまで100mほどだろうか。
左側を見ると漁船が迫ってきており、跳ねまくるブリのナブラの上を漁船は全速力で通過した。偶然かもしれないし、故意かもしれない。
曳き波を越える間、あれほどまで騒がしかった海は静寂に包まれた。
ため息をつく。
次のチャンスはあるのだろうか。
どこかで跳ねないかなと見張りをしていると、「ドゴンッ!!!」と10mほど先でブリが跳ねた。
デュエル ハードコア バレットダイブ 140mm ピンクイワシを軽くキャストする。
着水するまでに、カヤックの周りが騒がしくなった。まさに、お祭り騒ぎだ。
行き交うブリの間を上手い具合にルアーはすり抜ける。
残り数m。ダメか。よし、次だと最後のアクションをつけた刹那。海中でSの字を描いていたルアーの後ろに、まさに今、下から大きく口を開けてルアーを飲み込もうとするブリが見えた。
爆音で海面に飛び出す。水柱が立ち上がる。
それを見ながら、慌てずやり取りをする準備に入る。竿先からゆっくりと曲がる。

「よし食ったぁ!!」

声をあげた直後、すでに魚体はカヤックの左側にいた。本当に近くで食ったのだな。
竿を立てすぎないように気をつけながら右側へ回し、ギャフを下顎に突き立てた。
引き上げた直後にすぐにギャフで脳締めし、大人しくさせる。

72.0cm 5.1kg

計測するとワラサではあるが、先週より重い。そうとう脂がありそうな気がする。
遠くからお祭り騒ぎを見ていた釣り仲間に近づき、ガッツポーズをして見せた。

終わらないお祭り

日が出てきた。クーラーに入り切らないワラサに海水をかける。
さてそろそろあがろうか。などと思っていると、「跳ねたっ!!」と声が聞こえてきた。
すぐキャストするが出ない。がしかし、チャンスは続く。ブリが狂ったように跳ね続ける。
猛スピードで遊漁船が何隻も近寄ってきた。
船に当たらないように、曳き波でひっくり返らないように注意しながらキャストを繰り返す。
がしかし、私のルアーには出ることはなかった。
釣り仲間には出たらしいが、バラシたらしい。
その後は単発で跳ねたりを繰り返していたが、遊漁船の移動とともに静かになった。
暑くなってきたので沖あがりすることに。
ナブラを追って離岸場所からだいぶ移動していたため、のんびりと帰る。
鳥が飛んでるなあなどと眺めていたが、その鳥が後方300mほど先の上空に留まっている。
怪しい。もう1羽やってきた。
反射的にロッドに手を伸ばしながら全速力で漕ぐ。
残り200mほどだろうか。強烈なナブラが発生。
「間に合え。。。間に合え。。。間に合えー!!!」と後手に回ったコウ・ウラキのように、ナブラに全開で向かう。
間一髪間に合わず。ナブラは沈み、鳥は散ってしまった。
あんなに力いっぱい漕いできたのに。喉の血の味を噛み締めながら「この海は。。。地獄だ」の言葉が思わず漏れる。
うなだれていると、左から水柱が。や、右からも水柱が。
その水柱が徐々に近寄ってきてカヤックの真下で合流した。
カヤックが音を立てながら左右に揺れる。ナブラが真下で起こっているのだ。
鳥山の中でどうしていいかわからず叫ぶ。
ギャフを海中に打ち込めばおそらくブリを穫れるだろう。というくらいの状況。
とりあえずルアーを放り込もう。
デュエル ハードコア バレットダイブ 140mm ピンクイワシを垂らすと、ナブラの上を転がっていった。それほどの密度でブリが狂気乱舞している。池の鯉みたいな状況だ。
そのまま右側にナブラが抜けていったため、体制を立て直しキャストする。
「出たっ!あーっ!」と叫んでは再度キャストしを繰り返す。
結局3回出たが乗らずでお祭りは終わった。
帰宅後、片付けもそこそこに長い昼寝。相当疲れた。もう十分満足だ。

「明日も釣り行くのかい?もう本当にブリいらないから」

「もう疲れたよ。明日は一日寝てます」

故あれば寝返るのさ

「ソロモンよ。私は帰ってきた」

朝日を眺めながら海に向かってつぶやく。
一日中、跳ねまくっていたという話を聞いて、結局ウズウズしてしまい来てしまった。
寝ぼけながらの「ブリはいらないよ」という言葉は聞かなかったことに。
ポイントに向かう途中に急にナブラが発生。
デュエル ハードコア バレットダイブ 140mm ピンクイワシを投げまくるが見向きもしない。
ナブラが終わったので、マリア レガート F165 ケイムラスリットグローに変えて試し投げする。
やはりレガートは安定している。エラーがまず出ない。ポジションが難しいカヤック上では非常に助かる性能だ。
跳ね待ちをしながら釣り仲間と話していると、数十m先で鳥が上空を旋回しているのに気づいた。

「あそこ。。。下にいるんじゃないかな。。。」

キャストしてみる。
釣り仲間が見守るなか、ルアーに動きを与える。
ダイビングペンシル特有の動きをし、浮かんで来た直後、ベタ凪の海面に「ボゴォンッ」と強烈な水柱が立った。

「ノれッ!あー!ノれッ!」

アドレナリンがドバドバと出てきてるのか、一気に身体がアツくなった。
乗らないあとも動かし続けると、ブリが勢いよく追ってきて何度も食ってくる。
3、4度目のバイトのあと、ギュンっと走りはじめロッドが大きく曲がる。
「よしノッた!」と叫びながら1、2度力強くアワセると、急に手応えがなくなってしまった。
リールからすぐのところから切れている。傷があったのだろう。高切れだ。
目の前で食うところを観てた釣り仲間も残念そうにしていた。
メンテナンスを怠った責任。申し訳ない。海とブリに頭を下げる。
その後、エアーノットを盛大にやらかしてしまう。高切れさせてしまった呪いだろうか。
直している最中に周りは順調に釣っていく。
まだまだこれからと、跳ねるのを待ってはいるが、どうにも跳ねない。
跳ねない。
結局、その後跳ねることはなく、2日間の青物キャスティングは終了した。

わたし、ギャルルになる

帰宅後、洗濯する妻と挨拶を交わす。

「髪染めようかなと思って。思い切って金髪にしてみたりして」

「いいじゃない金髪。金髪にメガネ。いいじゃない」

童顔の妻なので、まだまだイケるのではないだろうか。

「ギャルっぽくならないように気をつけないと」

「ギャル?メガネで?時東ぁみだ。いいじゃない」

「誰それ?」と眉間にシワを寄せて聞き返す妻。

「時東ぁみの”あ”は小さい”ぁ”だから。気をつけて」

なんだ小さい”ぁ”って。とでも言いたそうな顔の妻。

「代表作はBoom Boom めっちゃマッチョ!だね」

「あ、観たことある」

「『そねねことギャル曽根は自身のリリース楽曲がギャルルの曲しか無いためギャルルの曲を大切にしており、2020年現在でもカラオケでは必ず『Boom Boom めっちゃマッチョ!』を歌う。』だってさ。君も大事にしてね」

「何が?」

大音量でBoom Boom めっちゃマッチョ!をループすると、「気が狂いそうになるからやめてっ!」と妻は機嫌を損ねてしまった。

「ところで、あんたあの釣ってきたブリどうすんの?」

眉間にシワを寄せて鼻があたるほど近づいてきた、その姿を観て、現代のルドヴィコ療法に、ギャルルはピッタリだなと思い、妻のまぶたを静かに固定しようとするのであった。

タックル

© 2024 磁力式駆動 All Rights Reserved.
Theme by hiero