立て続けに強風のため遊漁船が中止です。どうも何某です。こんにちは。
手巻きで1000m以上ラインを何個も巻いて、戻して、別なライン巻いてを繰り返すのは心が折れます。
スコップで穴を掘っては埋めるを繰り返している感じ。
急な出張
急遽、仕事の関係でハワイ島に行く事に。
慌ててパスポートを探し準備する。
良かった。まだ期限は切れていない。
コロナ禍だからなのか、アメリカだからなのか、やたらと事前準備が多いもなんとか到着。
さらに国内線に乗り換えのため、再度保安検査を通る。
「ポケット。中、何かありますね?出す。」
保安検査をしているのは、日系人の方だろうか。日本語が上手で助かる。
しかし、おかしいな。靴まで脱いで完璧なはずだが。
左手をポケットに入れてみると、外したマスクが入っていた。
ここはハワイ。日本とは違い、すでにアメリカはコロナ禍ではないらしく、マスクをしている人はほぼいないので、飛行機を降り、すぐに外したのだ。
マスクを手に持ち、両手をあげ、身体をスキャンされる。
無事終わり、笑顔で向こうに行けという指示をされた。
良かった良かったと、こちらも笑顔で返し、歩き出しながら左手でマスクをポケットに仕舞おうとするやいなや、「ヘイッ!ヘイ!!!!!」と、続けてネイティブな英語でまくし立てながら先程の検査員が詰め寄ってきた。
「ハンズアップ!!出す!!出すよ!!ポケット!!ダメッ!!」
ゆっくりと手を開けと、ハートマン軍曹よろしく、鬼の形相で詰め寄られる。つい直前までのあの笑顔はもう無い。
挙げた両手をゆっくりと開くとマスクがヒラヒラと落ちてきた。
マスクを確認すると、アゴで行けと促す。
先程の保安検査は何だったのだ。ポケットから出したマスクも見せて、ボディスキャンしたではないか。
それ以上に何を隠してると思ったのだろうか。
十分距離を取ってから、ポケットにマスクを戻しつつ、ついでに、すっかり縮みあがった私自身の位置を変える。
なるほど。大国アメリカといえど、私のモノを恐れたのだろうか。
確かに一度、サウナで同席したロシア人に下半身を凝視され、「日本はサウナにトンファーの持ち込みは許されるのか。」と、あわや一触触発。ストリートファイト待ったなし、ということもあった。
あったのだ。
今では、すっかり調子に乗った面影はなく、ジェリービーンズほどに縮みあがっている。情けない。
日本男児たるもの、もっと堂々と富士を掲げろ。あの保安検査員は、そう言いたかったのではないか。
何を予約したのか
妻に「もう帰りたい。日本の宝が危ない。」と、早速のホームシックをかましながらも、仕事をこなす。
返信は「忙しくてそれどころじゃないから。」とのこと。もう仕事に生きよう。
とはいえ、せっかくなので、釣りする時間をなんとか作ろうと同僚に打診する。
Webでサクッと検索。
「おっ、トローリングがありますよ。これなら釣りしない我々でもクルージングで楽しめるんじゃないですかね。」
釣りをするのは私しかいない。ほかは初心者も初心者。
まぁ、ハワイ島でクルージングとは優雅じゃないか。いい息抜きになりそうだ。などと浮かれつつ予約。
船に乗るのは4時間ほどだが、準備もしてないので、海を堪能して良しとしよう。どうせカジキなんて釣れるほうが珍しいのだ。
日本人船長が宿泊先まで迎えに来てくれた。日本語が通じるのはありがたい。
「カジキって今の時間から釣れるんですか?」
「えっ!?トローリング?準備してないよ?」
話が違う。
準備してないのは我々だけではなかったのだ。
「今カジキの時期じゃないのよ。最初カンパチ釣って、後半は中深海でお土産狙いだけどいい?」
トローリングで予約したはずなんだけどなぁ。とは皆思ったものの、まぁよくわからないからいいか、という空気が流れたのでそれに従う。
「お土産釣れたら刺身美味しいよー。」
と笑顔の船長の言葉。
「カンパチの刺身かー。楽しみだ。」
などと浮かれていると、「カンパチは食べられないよ。釣るだけ。」と制される。
もしや、シガテラ毒とかだろうかと聞くと、船長は頷きながら「寄生虫も凄すぎて食べる気にならないと思うよー。」と笑いながら言われる。
残念だ。
とんでもなく釣れる
出港から30分以上移動しただろうか。
ライトジギング用のスピニングロッドに120gのジグを渡される。
水深は120〜140mらしい。
おそらく潮がだいぶトロいのだろう。
「はい、どうぞー。」
ミヨシにいる私はすかさずジグを落とす。
同僚達はジギングが初めてなので、船長に教わっているようだ。
着底後、10mほどを急いで巻き上げ、早めのワンピッチジャークで誘う。
私を指差し「あんな感じでやってみてー。」という船長の言葉に同僚達は従うが、全く手が動かない。ワンピッチジャークのやり方が理解出来ないらしい。
最初は難しいよなぁ、と思いつつ、船長がついているので同僚は放置して、まずは一匹釣ることに集中する。
50mほどシャクったので底にまた落とす。
10mほど巻き上げワンピッチジャークをし、途中で軽いフォールを入れてみた。
刹那。ラインがくの字に曲がる。
ラインを巻き取ってリールと一直線にした後、スプールを抑えながら強く2、3回アワセた。
「きましたよー。底から20mー。」の声に船長が反応する。
ポンピングしてみるが、ロッドが柔らかく根元から曲がり全然あがらない。リールも小さいので巻取り量も少ない。
これは相当なファイトになるぞ。
ラインも細いらしいので、ドラグも締めれない。出たり入ったりを繰り返す。
そんなに大きくはなさそうだが、なかなか上がってこない。
「このタックルでも、ゆっくりやれば20kgも釣れるから。心配しないで。」
船長がタモを持ってやってきた。
根本から曲がるロッドなので、スクワットの要領でポンピングの距離を稼ぐ。
「おーし、きたー。」の船長の声とともにカンパチが取り込まれた。
「4kgちょっとだね。はい持って。」
写真を撮ってすぐリリースしてしまった。
余韻なく再度落とす。
下から誘ってみると、すぐさまドスンとアタリ。
同じ要領でやり取りする。今回も、まぁまぁ時間がかかるがなんとかあげた。
「さっきよりは大きいね。はい持って。」
またしても写真を撮ってすぐリリース。
余韻に浸る暇もない。
資源保護のために、即リリースが基本だそうだ。カジキだとリーダー掴んだら「釣った、おめでとう、はいリリース。」くらいで、リーダー切ってリリースとかもあるとか。船にもあげない。
船を戻して再度落とすと、すぐまた食ってきた。入れ食いである。
その後も、すべてがまずまずの大きさで腕がパンパンになってきた。
1時間ほどのカンパチジギングではあったが、私と同僚もなんとか釣り満足度は高かった。
中深海でお土産確保
さらに30分ほど移動した後、ビーストマスターを渡される。
普段の釣りからすると、こんなことでもない限り触ることがない電動リールだ。
イカの切り身を発酵させたものを餌にする。
軽く誘っていると、すぐさま何か食いついた。
「ん?アカムツっぽい。」
とつぶやくと、船長から「おしいっ!」という声が。
「ハチジョウアカムツっていうんだよ。アカムツってついてるけど、どっちかっていうとタイのほうが近い。」
なるほど。
これはいい経験をしたと思っていると、同僚がハワイチビキというのを釣ったらしい。
「これは刺身美味しいよ!高級魚だ!よかったね!」
船長のはしゃぎように、これは晩酌が楽しみだぞと高まりつつ納竿となった。
南国の魚の刺身
宿まで船長に送ってもらう。
別れ際に釣れすぎたので、半分もらってくださいと船長に声をかけると、「本当!?うわー嬉しい!」と心底喜んで引き取ってくれた。
物価がめちゃくちゃ高いからなのだろうか。本気で喜んでるように見える。
たしかに昨日、スーパーで大げさでなくひっくり返ってしまった。日本の3倍以上の価格で商品が並んでいる。
下処理をしようとするが、宿の包丁が全く切れない。どうすればよいのか。
腹を割くのも滑って大変だ。おもちゃの包丁くらいの切れ味。
砥石があるわけでもなく、しょうがないので無理やり押し切る。
皮も綺麗にとれず、刺身も潰れてしまった。
まぁ、醤油つければなんとかなるだろうと、宿の醤油を出してみたが、なんだか妙な味がする。
悪くなってるわけではなさそうだが。
というか本当に醤油なのだろうか。醤油とは書いてはいるが。
感覚的には、醤油だと思って飲んでみたらコーラだったみたいなものだろうか。
刺身の味はというと、なんとも言えない風味。醤油とあわせて独特である。南の国が口の中で寝そべるような。
日本では味わえない経験を、コナビールで勢いよく流し込むのであった。